いま転職マーケットは売り手市場と言われ、転職者が増えています。
その一方で、転職活動がなかなかうまく行かず悶々としている人もいれば、退職を迫られ精神的に参ってしまっている人もいます。
女性に目を向けると、結婚や妊娠、子育てという節目節目で退職や転職を繰り返す方もいれば、これまでのキャリアを捨てて専業主婦という道を選ぶ方もいます。
これらの人の中には、うつ的な症状を訴える方が少なからずいます。
なぜそうなるのか探ってみましょう。
失業によって受ける影響
失業は自然災害や悲惨な事故などと同じくらい、心に大きな傷を残す人生の中でも非常に大きな出来事です。
会社の突然の倒産、パワハラによる追い出し、リストラ、退職勧奨など、失業に至る過程も心に大きなストレスを与えます。
男性は特に失業に大きなショックを受けるようです。
失業によって失うものは何でしょうか?
経済的自立を失う
まず一番に挙げられるのが経済的自立を失うことです。
雇用保険に入っていたなら失業保険をもらえる可能性がありますが、そうでない場合は経済的苦境に立たされます。
日々の生活費、家賃の支払い、ローンの支払い、社会保険料の支払いなど払わなければいけないものが目白押し…。
お金が定期的に入ってこないという恐ろしさは、そのストレスを実際に経験した人しか理解できないかもしれません。
社会的信用を失う
さらに社会的信用を失います。
例えば失業中にクレジットカードを作ろうとしても審査が通らない可能性が高く、社会的信用のない者と見られているという現実を突きつけられます。
ローンの新規契約も難しくなります。
家を借りようとしても大家が貸してくれる可能性は低いでしょう。
自信を失う
仕事で積み上げてきたスキルやキャリアというものがなくなると、自分に自信を持てなくなる人がかなりいます。
仕事を自分のステータスと思っていた人ほどこの傾向は強いでしょう。
「自分はこういう仕事をしています。」「〇〇会社に勤めています。」と言えるものがなくなるので、極端に他人と交流を持ちたがらなくなります。
「どんな仕事をしているのですか?」と聞かれたくないからです。
今の自分を恥ずかしい存在と思ってしまいます。
人から役に立たない存在と思われているに違いないと思い詰めます。
仕事を失うと、これまで当たり前と思っていた働く場所のあることや働くことそのもののありがたみがしみじみ分かり、失ったものの大きさにショックを覚えます。
失業中はうつになりやすい
こうしたものが失業によって一気に押し寄せます。
自分を孤立させるようになり、極度な気分の落ち込みを経験します。
経済的不安、社会的信用がないという現実、それらから来る自信喪失など、失業によって人が精神的なバランスを崩しやすくなるのは火を見るより明らかです。
転職活動は?
転職する場合、退職してから次の仕事を探してもすぐに見つからないことが多く、上記で挙げたさまざまなストレスを経験する羽目になります。
そのため今は多くの人が現在の仕事を続けながら転職活動を始めます。
経済的な基盤を残しつつ次の仕事先を探すので、失業中の人よりはストレスは少ないように見えます。
では実際はどうでしょうか?
転職先がなかなか見つからない
今の転職マーケットは売り手市場と言われます。
厚生労働省が発表した2017年9月分の有効求人倍率は1.52倍です。
転職エージェント最大手リクルートエージェントが発表している2017年10月の求人倍率は1.88倍、同じく転職エージェント大手のDUDAが発表している2017年10月の求人倍率は2.25倍です。
こうした数字だけを見ると、転職者はいとも簡単に転職できてしまう気がします。
しかし現実はそうではないようです。
転職経験者なら分かることですが、求人に応募してもほとんどが書類選考で落とされます。
落ちる回数が10回や20回ならまだましなほうで、100社応募してもすべて書類選考落ちという人もいます。
転職マーケットにおいて自分は市場価値がないという現実を突きつけられてしまうのです。
転職に成功しやすいのはやはり他の人とは異なる知識や技術を持っている人であり、一般的な業務しかできない人にとって転職の門戸は限りなく狭められています。
多くの人がカン違いしている点ですが、今の会社でそこそこの給料をもらっているから自分は問題ないだろうと考えます。
受け取っている給与額が高い人ほど、この思い違いをします。
しかし給与額は自分の市場価値とイコールではありません。
それは今いる会社の判断にしか過ぎないのです。
給与額=自分の市場価値ではないことに気づかず転職活動を始めた人たちは、自分の市場価値の低さにプライドを大きく傷つけられてしまいます。
書類選考に落ち続けると、自分のスキルやキャリアは他の場所では通用しないのではないかという恐れと不安で精神的バランスを崩しやすくなります。
専業主婦の女性
主婦業は非常に価値のある仕事ですが、すべての人がそのように考えているわけではありません。
仕方なく主婦をしている女性
主婦業はだれでもできる、簡単な仕事、お金を生まないなどという考えに影響されて、自分には価値がないと判断してしまう女性が少なからずいます。
キャリアを積んできた女性ほどそのように感じる傾向が強いようです。
そのため少しでも早く社会復帰をしなければと焦ります。
今の自分の存在価値を低め、結婚したことを悔み、ひいては子どもがいることを恨みます。
自分には自由がないと嘆きます。
こうした考え方は感情的ストレスを生み、夫や子どもに感情をぶつけます。
子どもに手を上げたり、「〇〇のせいで・・・」と言って責めたりしてしまうことがあります。
その行動を後から悔み、自分は良くないママだと落ち込みます。
この悪循環が繰り返されると、人は容易にうつになります。
専業主婦を選んだ女性
専業主婦を自ら選んだ女性は、比較的精神が安定しているように見えます。
子育てを一つの仕事とみなし、それを楽しむことによってやりがいや充実感を味わいます。
ただ専業主婦が口にする一つの悩みは経済的基盤がないということです。
不思議に思われるかもしれません。
「夫が働いているなら問題ないじゃないか」と多くの人は思うことでしょう。
しかし今の時代、夫が妻にずっと誠実であるかどうかは分かりません。
お金は毎月入れてくれているとしても、会社帰りに何をしているかをはっきりと把握しているわけではありません。
会社で女性社員とどんな付き合い方をしているかも分かりません。
正直なところ、夫がいつ自分から別の女性に走るか分からないという不安定な要素の上に家庭が成り立っています。
そのため、離婚となった後のことを考えて経済面でこのまま夫にすべて寄りかかっていてもいいのだろうかという不安を感じています。
もしもの時のことを考えて、自分も働きに出たほうがいいのではないかと考えます。
実際、本当に浮気や不倫という問題が起きれば、それによって被る感情的ストレスは言葉で言い表わすことはできないでしょう。
心配していた経済的不安も一気に押し寄せます。
こうしたことによってうつになる可能性は非常に高くなります。
どうすればいい?
ではどうすればいいのでしょうか?
失業中の場合
失業経験者の話をいろいろ聞いてみると、意外なことですが後先考えずに仕事をやめたという方が結構おられます。
「今いる場所が嫌だから、まず辞めてから考える」というスタンスの方が多く、結果として現実に直面し、「辞める前に次の仕事を探しておくべきだった」と後悔の弁を述べておられます。
職種や年収にこだわればこだわるほど次の仕事がすぐに見つかる可能性は低く、生活に苦労します。
失業中はある程度プライドを捨て、自分にできる仕事は何でもするというスタンスで仕事を探す必要があります。
そういう覚悟ができれば、新たな展望が開ける可能性は高くなるでしょう。
ハラスメントを受けての退職・失業の場合は、履歴書に退職理由をどう書けばよいか悩む方がおられます。
以下の記事を参考にしてください。
転職活動中の場合
転職活動中の方はどうでしょうか?
転職すれば良いことがあるという考えで転職を進めると結構痛い目にあいます。
自分が転職したいのはなぜか、そうする理由が本当にあるのか、そのあたりをしっかり自己分析してから転職するかどうかを決めたほうがいいでしょう。
自分がしたいと思っていることは今の会社で本当にできないのだろうかと考えてみることもできます。
それでもやはり転職した方がいいという結論が出たら、転職エージェントを利用して在職中に転職活動を始めるといいかもしれません。
そうすれば仮に転職できる先が見つからなかったとしても今の仕事で生活していけます。
転職エージェントを利用するとしても、自動的にいい転職先を教えてくれるというものではありませんので、自分の強み弱み、キャリアの自己分析などをしっかりしてから相談しましょう。
仕方なく専業主婦という場合
仕方なく専業主婦をしているという方は、ぜひ今の環境を十分に満喫していただきたいと思います。
子育てというのは20年かけて一人の人間を社会に送り出すという本当に素晴らしい大事業であり、誇れる仕事です。
もちろん経済的な問題も含めて各家庭ごとに異なる問題があるので一概に子育てに専念したほうがいいとは言えませんが、子どもを育てることに十分の時間と労力をかけるなら、20年後には大きな大きな笑顔が待っています。
以下の記事に子育てにおいて気をつけなければならない点をまとめているのでご覧ください。
専業主婦を選んだという場合
最後に、専業主婦を選んだ女性が抱える不安の一つ、夫の不貞行為が万が一起こった場合、感情面のストレスにどのように対処できるかを記事にしていますのでご覧ください。
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