機能不全家族の中で育った人が嗜癖をやめるためにできること


機能不全家族の中で育つ人には嗜癖(しへき)を抱える人が少なからずいます。

嗜癖をやめたいと思ってもなかなかやめることができない人もいます。

嗜癖は人の正常な活動を阻み、自尊心を奪います。

精神的なストレスを与えうつを発症することもあります。

マイナス要因がこのように多い嗜癖をやめるためにはどうすればいいでしょうか?

機能不全家族の中で生きるとは

機能不全家族の一員であれば、本当の自分を隠して生活するよう強いられることが多く、それは子どもの心に大変な負担となります。

ある子どもは家族の期待を一身に背負う家族のヒーロー役を演じます。

ある子どもは家族の悪い部分をすべて担うスケープゴート役になります。

ある子どもは陰湿な家族の雰囲気を払拭しようと努力するクラン役になります。

ある子どもは親の精神的支えになろうとするイネブラー役になります。

こうした役は子どもが進んで果たす役割というよりも、家族の不和や不一致を敏感に感じ取る彼らが家庭の平和やバランスを保つために身につけるよう半ば強制された鎧のようなものです。

しかし彼ら自身はそれらを自分の個性とか性格と思い違いしていることが多く、そのため自分の表現に不健全さがあることになかなか気づくことができません。

それでも、違和感がないわけではありません。

「こんなんは自分じゃない」という心の奥底からの叫び声がいつも聞こえてきます。

この声は真の自己が助けを求める声であり、本当の自分を表現できない苦しさから出てきています。

ただし本人はなぜそのような心の不安が生じるのか分かりません。

それでも内なる自分を安心させる何かが必要です。

自分が自分らしく存在できる空間が必要です。

そのために選ばれるのが嗜癖です。

嗜癖になりやすいもの

今まで隠してきた本当の自分を解放するために一時の安心感を得られるものであれば何でもいいわけですが、人に言いにくいもの、人に知られたら恥ずかしいと思うものが対象になることが少なくありません。

たとえば、アルコール、ギャンブル、万引き、過食、ネット、SNS、性行為、◯ルノ鑑賞、ゲーム、マンガ、リストカットなどが挙げられます。

これらは〇〇中毒とか〇〇依存症とも言われることがあります。

この他にも仕事に打ち込みすぎる仕事嗜癖など一見問題のないものが嗜癖の対象になることもあります。

嗜癖がやめにくいのはなぜ?

分かっていればやめればいいのに、と思うのが普通の考えです。

当人もやめたいと思っていることがほとんどです。

しかし、やめないといけないのにやめるのが難しい、それが嗜癖の特徴です。

なぜ嗜癖はやめるのが難しいのでしょうか?

その一つの理由は、これまで機能不全家族によって与えられてきた精神的ストレスや自分を締め付けてきた圧迫からの精神的解放をそれによって味わってきたということがあります。

一時的にも自分が自分らしく存在できる感覚をそれによって経験してしまうと、やめるのはとても難しくなります。

もちろんそれを続けるなら問題が起きること、一時的に気持ちが高揚しても後で大きな反動が来ることも経験から分かっています。

しかし、その衝動を抑えるのは至難の業です。

嗜癖をやめるためにできること

嗜癖を本当にやめたいなら、果断な行動が求められます。

「今度こそやめる!」と心に誓ってもなかなかやめることができないのが嗜癖ですので、一人の力でなんとかしようとするのは無理があります。

周りに助けを求めましょう。

自分の問題を打ち明ける

嗜癖を自分の抱える重大な問題とみなして人に話しましょう。

これには大変な勇気が求められます。

これまで人に知られないようにしてきたことを白日のもとにさらすのと同じだからです。

しかしこの段階を踏むことが嗜癖をやめる大きな大きな第一歩になります。

誰に話せばいいでしょうか?

配偶者や専門の治療ができるカウンセラーなど親身に話を聞いてくれる人、秘密を守れる人を探してください。

人に話すことによってこれまで自分の肩にのしかかっていた目に見えない重荷がなくなり気持ちが楽になるのを経験できるでしょう。

嗜癖は繰り返されやすいのでいつも人とつながっておく

人に打ち明ければ問題が解決するとはいかないのが嗜癖の厄介なところです。

これからが試練となる毎日です。

嗜癖となっていた習慣に逆戻りしたいと思ったとき、すぐさまだれかに助けを求めましょう。

恥ずかしがるのではなく、また嗜癖の強い欲求に負けるのではなく、それをやめるために助けを求めます。

電話をかけて今の自分の状況を知らせましょう。

つまづいても立ち直れる

嗜癖を克服する途上で、何回か失敗することがあるかもしれません。

しかし、それはこけたのではなくちょっと石ころにつまづいただけです。

そこで立ち止まってあきらめるのではなく、すぐに歩き始めましょう。

してしまったことばかり気にしていると、やめる力がなくなっていきます。

なぜつまづいたかを分析し、同じようなシチュエーションを避けるようにすればいいだけです。

一日一日やめることを意識的に努力していけば、いつしかそれが半年一年とつながっていきます。

嗜癖に代わるものをみつける

嗜癖はそれまで安心感を得る方法の一つだったわけですから、それをやめるとなると大きな不安を持つようになるかもしれません。

最初はそうですが、次第に嗜癖に頼らないでも安心感を持てるようになっていきます。

それまでは、嗜癖をしたいと思ったときの代わりになるものを探して、それに気持ちを向けましょう。

嗜癖をしたいと思ったときにはこれをすると決めておくのです。

嗜癖をしたいと思うときは強い葛藤と誘惑を感じますが、その葛藤も時間が経てば少しずつ落ち着いてきます。

嗜癖ができないことをもったいないとか残念とか思わないようにしましょう。

嗜癖に頼らない人間になれるなら、強い心や健全な自尊心が持てるようになり、人生をもっと前向きに捉えることができるようになります。

その過程にはしんどいときもありますが、あきらめなければ得られるものは嗜癖に耽溺(たんでき)していたときよりもさらに価値のあるものです。


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