“働き方改革”によって時短ハラスメント(ジタハラ)というものが生まれるようになりました。
ジタハラとは何か、どのように対応できるか考えてみましょう。
ジタハラとは
ジタハラとは、会社が具体的な業務改善を実施しないまま労働者に業務の切り上げを迫る行為を指します。
長時間労働に対する目が厳しくなる中、従業員の労働時間を減らすことだけにしか注意を向けない経営者や管理職が必要な業務改善などを行なうことなく従業員を退社させています。
高橋書店が先月11月に実施したアンケート調査から労働者の悩みが見えてきます。
多くの労働者の一番の悩みは労働時間が短くなったのに業務量が変わっていないことです。
仕事が終わっていなくても定時に帰らないといけない、会社で残業ができないので家に持ち帰っているといった切実な悩みを抱えています。
さらに仕事が終わらず取引先に迷惑をかけたことがあるという不満も挙げられています。
このアンケートに答えた730名のビジネスパーソンの半数以上が自分の会社で働き方改革が行われていると答えました。
しかしその実態は、具体的な対策や体制がまだ十分整っていない中で形優先で施行されているというのが現実です。
ジタハラが起きる原因
長時間労働を改善する一番効果的な方法は業務量を減らすことです。
業務量が減れば、必然的に労働時間の削減につながります。
しかしそう簡単に業務量を減らすことはできません。
業務量を減らすことができなければ、それをこなせるだけの人手を増やせばいいのですがそれも簡単ではありません。
そうなると、今いる人数でこれまでの業務をこなすしかありません。
しかし残業してカバーしていた業務量を残業なし応援もなしでするようにと言われてもそれには無理があります。
こうしてジタハラが生まれます。
ただし、しなくてもよい残業をしている人がいるのも事実です。
彼らは初めから残業代を計算に入れて生活しています。
残業代を手に入れるためにダラダラと仕事をします。
こういう人にジタハラを語る資格はありません。
ジタハラのない職場にするには
長時間労働を改善するのはなぜでしょうか?
それは長時間労働の犠牲者を減らすためです。
そう言うと、労働者の過労死のことがまず頭に浮かびますが、長時間労働の犠牲者には彼らの家族も含まれます。
たとえば夫が長時間労働を行なえば必然的に家族との時間がなくなります。
そうなると、夫もしくは父親との有意義なコミュニケーションができない妻や子どもの感情的精神的必要はないがしろにされてしまいます。
ですから会社が働き方改革を推し進める場合、社員の家族を意識しないなら働き方改革を本当の意味でまっとうしているとは言えないのです。
社員を定時に帰せば会社としての目標数値は達成できるかもしれませんが、その結果仕事を家に持ち帰るしかないとすれば彼らの生活の質は大いに下がってしまいます。
仕事が終わっていないというプレッシャーやストレスが身体や精神に与える影響も見逃せません。
定時に帰るようにということがジタハラにならないようにするためには、やはり労働者のワークライフバランスをしっかり考えなければなりません。
残業させないようにしたいなら、残業しないでもいいような業務システムを構築する必要があるのです。
「帰れ、帰れ」というだけの上司は百害あって一利なしの能なしです。
Pick Up
2017年1月にカンブリア宮殿という番組で働き方改革を推し進めている情報システム会社がクローズアップされていました。
どんな業務改善を図ったのかが分かります。
業務時間内に仕事を終わらせるには
業務改善がなされていない中で残業しないで業務をこなしていくには、これまで以上の計画性が求められます。
どうすればいいでしょうか?
よく使われている方法がありますのでご紹介します。
やるべきことをリストアップする
まずはじめに、手帳かメモ用紙などの紙を用意して真ん中に折れ目か線を入れます。
その左側に[重要なこと]という項目を作り、右側に[緊急なこと]という項目を作ります。
そのあと、その日一日にする仕事をどちらかの項目に振り分けます。
次に、以下のように分けます。
- [重要なこと]の項目から、[重要だけど緊急でないもの]に○印をつける
- [緊急なこと]の項目から、[緊急だけど重要でないもの]には△印をつける
- 残るのは[緊急かつ重要なもの]、もしくは[重要でも緊急でもないもの]となる
- [重要でも緊急でもないもの]には×印をつける
- 何の印もつかなかったもの、それが今日優先的に行なうべき仕事となる
このように自分がやるべき仕事をリスト化し、それをさらに細分化するとやるべき仕事の順序が明確になり時間を活用できるようになります。
80:20の法則で仕事をする
これはバレードの法則といわれるものです。
リストアップした中で本当に重要なのはそのうちの2割ほどですべての作業をその日のうちに終了させる必要はないということです。
実際上の方法で仕事を振り分けた場合、何の印もつかなかったのはリストアップしたうちのほんの一部だったのではないでしょうか?
2割が終われば今日やるべき仕事のほとんどが終わると考えれば気持ちも楽になりますし、集中することもできます。
難しい仕事は集中力が高まる時間帯に行なう
人それぞれ集中力が高まる時間帯はさまざまですので一概にコレとはいえませんが、多くの人にとって朝は頭が活動的になる時間帯です。
自分にとって集中力が最も高まる時間帯を探して、その時間帯のときにややこしいと感じる仕事を終わらせましょう。
まとめ
これからも働き方改革は推し進められていくことでしょう。
そうなると、ジタハラに遭うケースも増えてくることが予想されます。
まず何よりも会社が業務改善を図ることが最優先ですが、個人としても抱えるストレスを最小限にしながら仕事に打ち込める状況を自ら作り出していく必要があります。
今回ご紹介した方法がお役に立てば幸いです。
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