昨日(8月3日)、山形大の学生だった、当時大学4年生の男性が、アカハラを苦に自殺していたというニュースが流れました。
事件は2015年11月に起きていましたが、遺族側の提訴を受けて初めて、大学側が学生の自殺にようやく言及したということに呆れます。
2016年6月に、アカハラによる自殺であったと認定されていたにも関わらずです。
学生を指導し社会に役立つ人材を育てるべき教育現場で、指導者自身がその芽を摘んでいるというのは、とても恥ずかしいことです。
アカデミックハラスメントとは
アカデミックハラスメント(アカハラ)とは、大学や大学院などの教育機関で、教授・助教などの指導教員が学生に対して、もしくは他の教職員に対して行なう、身体的・精神的・感情的嫌がらせのことです。
学術機関で行なわる、自分の立場を利用したパワハラです。
アカデミックハラスメントになりうるもの
- 根拠のない人格否定
- こなしきれない量の課題を出し、履行不可能な短期間での提出を求める
- 提出した論文を、正当な理由もなく受理しない
- 論文を共同著書にするよう迫り、拒否すると単位を与えない
- 当人が希望する学問の研究でなく、別の研究をすることを強制する
今回のアカハラの原因は?
今回発覚した山形大の大学4年生(当時)の自殺は、アカハラが原因でした。
指導教員が行なったアカハラは、学生に対する人格否定と言われています。
この助教は、日常的にアカハラを繰り返していた疑いがあり、複数の学生に対して長時間の説教をしたり、故意に無視したりすることがあったということです。
彼の場合、自殺した学生だけを対象にした個人攻撃ではなかったようですが、学生からすれば、どんな理不尽なことをされても耐えるしかなかったのでしょう。
なぜアカハラは起きるのか?
大学や大学院において、指導教授・指導教員と学生との間には、絶対的な力の差が存在します。
学ぶために師事しているわけですから、嫌なことをされても黙って辛抱するしかないと考えるのが普通でしょう。
絶対歯向かえない、歯向かってこないという環境では、ハラスメントは簡単に起こります。
そのことを理解せずに(分かっていてのハラスメントであれば非常に悪質です)無理難題を押し付ける、圧力的に接する指導者が少なからずいます。
一人の人を死に追いやった、この40代の男性には、停職処分を受けたからもう問題は片付いているはずだとは思わずに、自分の性格や態度が人の命を奪ったんだということを深く認めて、徹底的な自己改善を図っていただきたいと思います。
それができて初めて、その死を真摯に受け止めていると言えます。
大学と助教は裁判で争うようですが、裁判での勝ち負けよりも、当人がいまどのように学生に接しているかのほうに、個人的には強い関心があります。
事件が起きてから約1年半、アカハラ認定されてから約1年、処分を受けてから約10ヶ月、すでにこれだけの時間が過ぎていますので、人の接し方に大きな改善が図られていることを希望してやみません。
人が変わるには謙虚さが必要
処分を受けたら、人は大抵それを恥ずかしく思いますが、それと同時に、処分対象になったことを苦々しく思うことがあります。
時間が経てば経つほど、その感情が強くなる場合もあります。
そして、それまでの自分の歩み方や接し方を変えることに強い抵抗感を感じ、そうすることを恥ずかしいとさえ感じます。
そのような感情の根本原因は、誇り・プライドです。
人との接し方を変えるには、謙虚さが求められます。
謙虚であるには、自分を低くすることが必要ですが、プライドの高い人は、自分を低めれば他人からバカにされると考えて、謙虚さを持てません。
しかし実際は、謙虚さを示して自分を低くするほうが、人からの尊敬と尊重を得られるのです。
もちろん、そのような評価を受けるには、長い時間がかかるでしょう。
そうした時間も人格陶冶には必要です。
これまでの接し方を改めるための必要投資と考えなければなりません。
学生サイドでできることはないか?
力の差が歴然としているとはいえ、なんでも言いなり、なんでも耐えるでは精神が持ちません。
アカハラを完全排除することはできないとしても、それに対処する方法はあります。
記録する
記録は最低限の対処方法です。
いつ、どこで、どんなハラスメントを受けたかを克明に記録しておきましょう。
そうすることは、将来この問題を第三者に打ち明けるときの重要な参考資料となります。
ボイスレコーダーや小型カメラなども使えます。
相談する
自分が受けているアカデミックハラスメントを、ご両親にぜひ伝えてください。
しかるべき対処方法を一緒に考えてくださるでしょう。
一緒に法律事務所へ相談に行ってくれるかもしれません。
迷惑をかけると言って、一人で悩むのが一番いけません。
もし相談する相手がいないと感じるなら、アカハラ問題を扱っているNPOに相談することもできます。
ハラスメントの問題を解決する確かな方法の一つは、誰かに打ち明け、一緒に問題に取り組むことです。
そのためにも、被害を記録することを忘れないでください。
コメント
自大学関連のワードで検索してこのサイトにたどり着きました。いかに自浄作用が無いかが分かると思います。おかしな教授が居座るのは、大学組織というもの自体の問題かも知れませんが、この隠蔽にはさすがに驚きました。
実は医学部でも自殺者は出ているようです。当該学生は除籍の後に自殺したため、在学中の自殺ではなく、公表されていないのでしょう。
ですが、医学部学生の自殺は日本各地で発生する大きな問題でもあります。
山形大学医学部の進級判定は全国的に見ても不当に厳しいことで有名です。学生の不勉強で片付けられやすいのですが、内部を見ると決してそれだけではないことが分かります。国家試験で問われない些末な知識を問う試験、採点基準が不透明な試験に加え、そもそも進級基準も不透明であるなど、アカハラすれすれの教育が行われています。他の学部と異なり医学部は1単位でも落とすと留年が確定するため、そのような教授が居ること自体学生にはかなりの負担になります。この傾向は私立の医学部や理系学部でより顕著ですが、国公立大では徳島大、山形大、弘前大などが教育面で不当に厳しいと言われています。ネットでは以前から騒がれているものの、未だにこの部分に深く切り込んだ記事はあまり見ません。医学生は同情が集まりにくく、なかなか問題にならないのでしょうか。患者様のために必要な勉強なら苦労は惜しみませんが、未だに時代錯誤な教育に、出来のいい生徒から悪い生徒まで苦しみ続けています。
ご興味がおありでしたら、是非一度記事にして下さい。少しずつでも問題視されるようになって、私が卒業してからでもいいですから、医学部の教育がいい方向に変わることを切に願っています。
山形大医学部学生 様
興味深い情報に感謝します。
今後もこういった問題にスポットを当てていき、意識改革の一助になればと思います。
ありがとうございました。
お返事頂きありがとうございます。
山形大学と入試偏差値が同程度の医学部を見ても、山形大学のように大量の留年は出さず、それでいて国試合格率はあまり変わりません。私立大学の医学部は更に状況がひどく、医学部以外だと、東京理科大学も理不尽な教育姿勢で有名です。
学生へのアカハラは試験や留年など合法的なやり方が沢山あり、研究室所属後と違い責任の所在も明確になりにくく、多くは学生の努力不足で片付けられてしまいます。山形大学では学生が留年に怯えているのをいいことに、学内イベントに出席を呼び掛ける掲示にも「不参加なら留年の可能性あり」などと書く始末です。知り合いが何人かうつ病になりました。MENSA会員の人や入学時に上位だった学生が留年したりしています。これに耐えれば優秀になれるのならまだ飲み込めるのですが、国試合格率や先輩の活躍も平凡です。何のための苦労をさせられているのか分かりません。
明らかに異常なことがまかり通っています。なかなか話せる所も無く、学生は大体泣き寝入りしていますが、このブログを見つけて藁にもすがる気持ちでコメントを書きました。インターネットの記事からでもいいので少しずつ問題意識が広まって欲しいです。
山形大医学部学生様
興味深い情報に感謝します。
現状を知っている方からの詳しい情報は本当にありがたいです。
大学の教育姿勢態度を直していくにはいろいろ厄介な問題があるかと思いますが、山形大医学部学生様のコメントがより多くの方の目に留まることを願います。
どの環境においてもハラスメントは存在します。
これは立場役職のある人が持ちやすいカン違い、自分のほうが偉い優れているという感覚に拠るところが大きく、人を人として尊重するという道徳観念の欠落が問題です。
わたしも、人との付き合い方においていつも気をつけなければならない点です。
自分よりこの人は劣っていると思った時点でハラスメントは始まります。
山形大医学部学生様はまだお若い方と見受けられます。
社会に出るとますます不公平さを感じることが増えていきますが、人を人して尊重する、人を親切に扱うという基本道徳を忘れることなく、まず自分の周りで良い人間関係を築き、今日一日を十分に楽しんでいただきたいと思います。
山形大医学部学生様の今日一日が良い日でありますように。
コメントを寄せてくださりありがとうございました。
また訪問してください。
暖かいお言葉ありがとうございます。
私も人格的にまだまだ未熟ですが、raiseafam様のような、立場の弱い方に寄り添う、そんな医師となれるよう努力していきます。
寒くなってきましたが、お身体に気を付けてお過ごし下さい。