昭和の時代、大抵どの家庭のお父さんも、多かれ少なかれ、亭主関白だったような気がします。
いつ頃からか、そのような表現を聞かなくなりました。
その後、出てきたのがモラハラ夫という言い方です。
モラハラ夫は、昔の亭主関白なお父さんと同じなのでしょうか?
違うとすれば、何が違うのでしょうか。
亭主関白なお父さんとは?
日本の伝統的な家族体系とも言える亭主関白。一昔前の日本は、ほとんどが亭主関白なお父さんがいる家庭でした。
当時のホームドラマでよく描かれていたお父さんというのは、頑固で態度がでかい、やることが少々ハチャメチャという感じだったでしょうか。
けれども、だれも彼を病的に恐れていない、お母さんも子どもたちも自分の言いたいことをはっきり言える、そんな関係でした。
そういう昭和なお父さん像を意識しながら、亭主関白について書いてみたいと思います。
家族を愛している
亭主関白なお父さんは「家の主(あるじ)は自分」と信じています。
しかしそれは「この家族は俺が守るんだ」という強い家族愛から来ていました。
ですから、家族のためなら少々荒っぽいなことでもやってしまいます。
家族もお父さんのそんな思いを理解しているから、多少理不尽なことを言っていることがあっても我慢したし、許すことができました。
亭主関白なお父さんの底流に流れているのは、まさに「愛」です。この愛があるからこそ、家族はお父さんを信頼し、付いていきます。
お母さんを愛している
お父さんとお母さんの関係についても考えてみましょう。
たとえ口に出さないとしても、亭主関白のお父さんはお母さんがいなければ自分はうまくやっていけないと、心の中ではっきり分かっています。
だからこそ、お母さんををいじめることはしません。大切にします。
お母さんが病気になると、家族の中で一番心配しているのはお父さんです。
お母さんは緊張しない
亭主関白なお父さんと一緒にいるお母さんは緊張していません。「今度は何を言われるか?」とビクビクすることはありません。
二人の間には夫婦の絆があります。
夫婦ゲンカをするといつもお母さんが負けてしまうでしょうか?
お父さんは理不尽なことを並び立て本質をうやむやにしてしまうでしょうか?
もしそうなら、それはモラハラ夫になるでしょう。
亭主関白のお父さんは、夫婦喧嘩で負けることがあります。
なぜなら、お母さんの意見のほうが正しいと分かればそれを認めるからです。家族の前で謝ることもできます。
これが夫婦の、そして家族のふつうの姿と思われます。
正しい時もあれば、間違っている時もある、それが人間です。いつも自分のほうが正しいということはありえません。
お母さんは自分の意見を言うことを恐れません。恐れる必要がありません。
お父さんとは「会話ができる」ことを知っているからです。
亭主関白なお父さんはモラハラ夫とは違う
亭主関白なお父さんとは「家族愛の深い夫」です。
家族を愛しているので、離婚することなど考えたことがありません。
隣りにいるこの女性と結婚できて、自分は本当に幸せだと心から思っています。
妻が家でしていることに感謝しています。
子どもを世話し、家事に忙しくしている妻を皮肉ることはありません。
口が裂けても妻に「誰のおかげで生活できていると思っているんだ」などと言いません。
妻の家族との関係も悪くありません。
家族のために働いていることを誇りにしています。
もしこうした家族愛がなければ、モラハラ夫ということになるのではないでしょうか。
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