職場でパワハラに遭ったらどうすればいいでしょうか?
一つの方法は会社を辞め、転職することです。
しかしそう簡単に転職できないこともあります。
そんなときは、休職できないかどうかを考えましょう。
パワハラが原因でうつ症状が出て休職したい場合、どのような手順を踏めばいいでしょうか?
休職に必要な手順
休職に必要な書類を確認する
会社ごとに必要な書類が異なる場合があるので、自分の会社はどんな書類が必要かを前もって調べておきます。
多くの場合、必要となる書類は医者の診断書です。
休職届は会社固有のフォーマットで提出しなければならないこともあります。
病院で診断書をもらう
医者の診断書が必要な場合、病院に行って医者に「休職届を出すので診断書を書いてほしい」と伝えます。
診断書は有料です。
診断書に病名や必要な療養期間がはっきり明記されているかを確認しましょう。
会社の人事部に休職届を出す
医者からもらった診断書と一緒に休職届を会社の人事部に提出します。
または直属の上司に渡さないといけないかもしれません。
しかしその上司がパワハラ加害者の場合は、さらにその上の上司に手渡すほうが無難でしょう。
同僚へのケアも
パワハラしている上司にはほとんど理解してもらえないと思いますが、あなたの休職を受け入れてくれる仲間もきっといるはず。
そういう人たちには、休職する前に一言伝えておきましょう。
休職届が受理されない?
もし仮に書類に不備はないのに休職届を会社が受理しないとすれば、第三者による介入が必要になるかもしれません。
弁護士や労働組合等への相談を考えましょう。
厚生労働省の労働条件相談ほっとラインや総合労働相談コーナーなども利用できます。
休職中の収入
休職期間中の収入はどうするか?
これが休職するときの一番の問題です。
会社によっては休暇(休職)制度というものがあり、休職期間も給与が支払われることがあります。
もしそのような制度がない会社であれば、傷病手当金の申請をしましょう。
傷病手当金に必要なもの
傷病手当金に必要となるのは、医者と会社による証明です。
医者からは当人が労務不能だったという証明を、会社からは当人が休んでいた間の給与は支払っていないという証明を申請書に記入してもらう必要があります。
傷病手当金を受け取る条件
傷病手当金を受け取るには以下の4つの条件をすべて満たしておかなければなりません。
- 業務外のケガや病気により入院、または自宅療養している
- これまでしていた仕事をすることができない(労務不能)
- 連続して3日間休み、4日目以降も仕事ができない
- 休職期間中、会社から給与が支給されていない
仕事上のストレスのうつは、現状では業務外として扱われています。
傷病手当金の申請先
傷病手当金の申請先は会社ではなく、健康保険組合です。
傷病手当金の申請書は健康保険組合のホームページからダウンロードできます。
申請先は健康保険組合ですが、申請書は会社に提出してもらうのが一般的です。
傷病手当金でもらえる金額や期間
傷病手当金を提出して受理されると、給料の約3分の2の額が最長1年6ヶ月支給されます。
傷病手当金を受け取る方法
- 申請書を健康保険組合のホームページでダウンロードする
- 会社に傷病手当金の申請をすることを伝える
- 医者に労務不能だった期間の証明をしてもらう
- 会社に労務不能期間中給与を支払っていないことを証明してもらう
- 健康保険組合に申請書を提出する
医者に労務不能期間を証明してもらうには、その期間が過ぎてから申請書へ記入してもらわなければなりません。
つまり、例えば半年間休職したのであれば、半年間の休職期間が終わってから初めて医者に労務不能を証明してもらえることになります。
しかしこれでは休職期間中、傷病手当金がまったく支給されないことになりますので、医師の証明は毎月もらえるようになっています。(証明は有料)
仮に11月から休職期間がスタートし11月中まるまる労務不能だったとすれば、11月末日以降に医者から11月中は労務不能であったという証明をもらいます。
12月中も引き続き労務不能であったのであれば、12月末日以降に同じように医師から証明をもらいます。
医師に記入してもらったら、今度は申請書を会社に提出し、会社が当人に給与を支払っていないことを証明してもらいます。
それが終われば、申請書を会社が提出するかもしくは本人が郵送します。
健康保険組合の審査に通ると支給が開始されますが、申請書を入手してから提出・支給の段階に来るまでに数ヶ月かかりますので、休職する場合はある程度の貯金がないと生活が苦しくなります。
提出してから1ヶ月以上経っても支給が始まらないのなら、健康保険組合に連絡を入れてみましょう。
組合が申請書を会社からまだ受け取っていないかもしれず、組合内で処理が止まっている可能性もあります。
休職中にすること
休職中は体を休め、快方に向かうようにする、やることはこれだけです。
病院に行って薬をもらったりカウンセリングに行ったりと、うつ症状を改善させることに専念しましょう。
焦らずじっくりとうつと向き合いましょう。
何かしていないと気が落ち着かないというのであれば、家庭菜園などの土いじりが気持ちを落ち着かせてくれるでしょう。
休んでいる間は生活が不規則になりがちです。
うつのときこそ、夜は早く寝て体を休めてください。
時間の経過と共に、少しずつ回復の実感を味わうことができるでしょう。
業務が滞っているのではないかと心配したり同僚に迷惑がかかっているのではないかと気を揉んだりして、早く職場復帰しようとする人がいます。
しかしそれはうつを長引かせてしまうだけです。
十分に治るまで仕事に戻ることは考えないようにしてください。
休職後の復帰
パワハラ上司がいるところに職場復帰しても、また同じ目に合うのは火を見るより明らかです。
いなくなっていれば最高ですが。
復帰するとき、社内異動ができないか打診してみましょう。
それがどうしても無理な場合は、これからの人生を考えてその職場には戻らず退職し新しい仕事を探すほうが心身にとってよいでしょう。
うつにかかっても気にしない
無理をすること、焦ること、疲れることは禁物です。
うつは人生の失敗でもなければ惨めな状態でもありません。
うつにかかると、人生をまた別の観点で見ることができるようになります。
よく使われるたとえですが、うつを治している期間はジャンプするためにちょうど腰を下ろして膝を曲げている状態と似ています。
ひざをしっかり曲げて力を蓄えれば、より高くより遠くまでジャンプできます。
同じように、うつの時にしっかり休息し力をため込んでいれば、快方に向かった時・回復した時に自分でもびっくりするような変化を経験する可能性が高くなるでしょう。
その時のことを目標に、一日一日をしっかり生き、うつ状態から回復することに気持ちを向けましょう。
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