家庭内暴力は、いま非常に深刻な問題となっています。
多くのDVが、殺人事件に発展しています。
警察庁のまとめによると、DV被害の報告は、昨年2016年だけで7万件に上り、13年連続の増加となりました。
2015年よりも10.5%の増加です。
家庭内暴力は身近にはないと考えたいものですが、実は、すぐ隣の家で起きているかもしれないのです。
DV加害者と被害者に対する、よく見られる思い違いをご紹介します。
家庭内暴力の原因はDVを受けるほうにある
DV加害者は「自分が怒るのはお前のせいだ」とよく言います。
「お前が俺を怒らせている」
この言い分は、自分には責任はなく、被害者に責任がある、ということです。
「そんなばかなことあるはずない」と普通は考えますが、実際は、周りの人の中にも「DV被害者の性格も関係するから」と、加害者の考えを受け入れてしまう人がいます。
では、考えてみましょう。
- 性格がほかの人と異なる人間は、殴られても構わない存在なのでしょうか?
- 何度も同じミスをしてしまったら、黙って殴られなければいけないのでしょうか?
もしそれを「YES」と言ってしまうなら、暴力を正当化することになります。
暴力は、いつ何時でも正当化されるべきではありません。
妻にDVをする夫は、暴力をうっぷんを晴らす機会、相手を支配する手段としています。
家庭内暴力の原因は、DV加害者にあり、責任転嫁することはできません。
暴力を振るうのはアルコールが入るから
これは、一見そのとおりのように聞こえます。
お酒が入ると、暴力がひどくなるケースがあります。
実際アルコールが入ると、私たちは気持ちが緩み、何事も自制することが難しくなります。
仕事場でも、お酒の席ではパワハラやセクハラがひどくなりやすいのは事実です。
しかし、暴力の原因をアルコールのせいにするのは、あまりにも短絡的で危険です。
DV加害者が、それを逃げ道として利用している場合もあります。
暴力を振るいたいときに、酒を飲むのです。
俺は普段は暴力を振るわないんだが、お酒が入るとちょっと気が緩むんだ。俺は悪くない、悪いのは、酒なんだ。だから許してくれ。
このような言い訳が通用すると思いますか?
暴力を振るうDV加害者は、本当はお酒が入っていようと入っていまいと、暴力を振るうのです。
先ほども述べましたが、彼らにとって、暴力は相手を支配する手段です。
それが成功をおさめている間は、決してやめません。
「お酒さえやめれば、暴力を振るわなくなる」というのは、正しくありません。
DV加害者はすぐに分かる
「そんなに暴力を振るうなら、普段から暴力的なはずだから、すぐに周りが気づく」
これが落とし穴です。
DV加害者の中には、家庭の中だけで暴力を振るい、他人がいるときは、非常に穏やかな感じを出すことができる人もいます。
ですから、近所や職場の人からすると、彼がよもや家族に暴力を振るっているとは思いもよらないのです。
DV被害者は実は嫌がっていない
DV被害者の中には、一時的にどこかに逃げる人もいます。
しかし、1,2週間もすると、また家に戻ります。
戻りたいから戻るのではなく、子どもの世話や世間体、その他諸々の事情で帰らざるをえないということがあります。
しかしその事情を、ほかの人には言うことはあまりありません。
そうすると、周りの人は「それほどひどくはないんだ」「なんやかんや言っても、そんなに嫌がってはいないんだ」と思ってしまいがちです。
「本当に嫌なら帰らないはずだ」というわけです。
しかし、問題はそんなに簡単ではありません。
もし今度、友人からDVの相談を受けたなら、批判的にならず、性急に判断せず、まずはじっくり話を聞いてあげてください。
その話の中に、真実が隠されています。
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