子どもをヒーロータイプのアダルトチルドレンにしてしまう機能不全家族とはどのようなものでしょうか?
機能不全家族とは
機能不全家族とは、親が子どもの身体的・感情的・精神的な面での世話を十分に施していない家族を指します。
簡単に言うと、本当の愛情が十分に注がれていない家族です。
このような家庭環境で成長する子どもは、心の中に違和感を感じながらもその原因が何か分からず成長します。
親からの身体的暴力(性的侵害を含む)を受ける子どももいれば、精神的暴力(自分の存在を否定される言葉や何をしても批判されるなど)を受ける子どももいます。
こうした事が日夜家庭の中で繰り返されると、子どもの心に深い傷が残り、思考回路も影響を受け、大人になってからでもその影響に苦しみます。
特に対人関係で問題を抱え生きづらさを感じます。
子どもは機能不全家族の中でどうすれば生き残れるかを必死に模索し、そのうちに「本当の自分」を隠し「偽りの自分」という鎧を着ることが良いということを知らず知らずに体得していきます。
その結果、「本当の自分」(インナーチャイルドと呼ばれる)は成長を阻まれ、「偽りの自分」がその子どもの本当の人格であるかのように育っていきます。
この「偽りの自分」という鎧は子どもが好き好んで着たものではありませんが、その鎧を脱ぐことができなかったため、当人自身あたかもそれを本当の自分と思い込んでしまい、成長して大人になってからでも「偽りの自分」という鎧を着ていることに気付かないことがほとんどです。
しかし、内側の自分と外側の自分の間には相当なギャップがあり、そのギャップに苦しみます。
「何かが違う」と心が叫びを上げているのです。
そうした「偽りの自分」という鎧の一つがヒーロータイプです。
どんな家庭環境がヒーロータイプを作り出すのか見てみましょう。
子どもに過度の期待をかける親
親の中には自分が成し遂げることができなかったことを子どもに期待する親がいます。
自分の理想を子どもによって実現させようというわけです。
子どもはそのことを肌で感じとり、その期待に応えようとします。
もう一つのケースは親と同じ道を歩むことを求められる家庭です。
子どもに「お前のためになるんだ!」と言いつつも、それは親のメンツのため、家の名のためです。
親の敷いたレールの上を歩くこと、親の思い描いた理想を実現することを暗黙のうちに求められます。
条件付きの愛情
こうした家庭は条件付きの愛情が多いと言われます。
親の言うとおりの行動を取れば愛情を注ぐが、そうでないと烈火の如く怒る、もしくは「あなたはわたしの子どもではない」と言い放つ、愛情をほかの子どもに移すなどです。
子どもは元来親の愛情を受けたいと思っていますから、そういう経験をすると親から見捨てられることを恐れて親の言うとおりにしようと頑張ります。
親はこの子どもの生来の欲求を利用して自分の思い通りに子どもを動かします。
誰がなりやすいか
多くの場合、長男長女がその役を担うことが多いです。
最初に生まれた子どもに親が多くのことを期待するのは普通のことでしょう。
その子どもが親の期待通りに成長すればそのまま「ヒーロー」となるのですが、そうでない場合は親の愛情は下の子に移動します。
親の期待に添えなかった長男や長女は、その後肩身の狭い思いをして成長するか、下の子のフォローに回ることを暗に求められます。
ヒーロータイプを作り出す機能不全家族の弊害
親の望むとおりに成長しなければ愛情を向けないというのは、その子どもの人権や尊厳、意思を無視していることであり、感情や精神の発育を大いに阻害します。
たとえ子どもが親の思い通りに成長したとしても、その子どもの心には大きなストレスが残ります。
見捨てられ不安
親の期待に応える「良い子」と見られますが、それは見捨てられることへの恐れから来るものであり、決して健全な感情に基づくものではありません。
見捨てられないために努力するという行動心理は、成長して大人になってからでも影響を与えます。
仕事もよくでき周りからの信頼もありますが、努力を続けなければ見捨てられるという心理は、その人をさらなる仕事へと駆り立ててしまい、それをとめないなら、いつかは燃えつきの症状やうつの症状を訴えるようになるでしょう。
完璧主義
親の期待に応えるために何事もうまくやらなければならない・失敗はできないという心理は、その人を完璧主義者にならせます。
完璧主義者はほとんどのケースで周りの人にも完璧さを求めるので、職場での人間関係や結婚しているなら家族との関係において問題を抱えます。
期待に応えるために失敗できないという心理は失敗に対する過度の恐れも生み、人生において何かにつまづく経験をすると、そこから立ち上がるのに多くの時間を要します。
過剰な自尊心
また、親の期待に応えるため人一倍努力してきたという自負があるため、過剰な自尊心を持つことも少なくありません。
結果、人を自分より下に見るという高慢さが顔を出すようになりプライドの高い人間になります。
ヒーロー役から降りる
機能不全家族のなかで「ヒーロー」役にならざるを得なかった彼らは犠牲者と言えます。
ただし、アダルトチルドレンは病気ではありません。
思考を変えていくことによって自分の良いところを残しつつ、負の面を改善することができます。
何に縛られていたかを理解し、自分を解放してあげましょう。
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