ヒーロータイプのアダルトチルドレンが家庭を持つとどうなるのでしょうか。
家庭で抱える可能性のある悩みを見てみましょう。
ヒーロータイプとは
アダルトチルドレンはいくつかのタイプがあり、その一つがヒーローです。
ヒーロータイプは機能不全家族の「救世主」であり「希望」です。
長男・長女がその役割を担うことが多く、家族の期待を一身に受け、その期待に応えようと必死に頑張ります。
機能不全家族は基本的に家族が感情的・精神的にバラバラな状態なのですが、ヒーローの頑張りを応援する形で表面的に一致しているように見せます。
子どもはそのことを敏感に感じ取り、自分の頑張りによって家族が一つになれるという希望を持ちながらその期待に応えます。
つまりヒーロータイプは、元々からヒーローだったわけではなく、家庭内で安心感や帰属感を得たい子どもが知らず知らずのうちに身につけた行動の結果と言えます。
ヒーローの役回りを子どもがこのように引き受けることもあれば、親によって強制的にヒーローに仕立て上げられるケースもあります。
どちらにせよ、ヒーロー役の子どもは自分の頑張りと家族の一致が表裏一体なのだという思考を頭に取り込みます。
この思考を取り入れたヒーローは、自分は失敗できないという恐れを持って生活します。
自分の失敗=家族の不一致・崩壊という図式になるのです。
こうして、ヒーローの多くは完璧主義者になります。
機能不全家族の中でヒーロー役を担える子どもは基本的能力に優れ、大抵のことは何でもできてしまいます。
それゆえにこそヒーロー役を担っているとも言えるのですが・・・。
家族の期待を背負っているヒーローは徐々に自分が家族を支えているという自負心を持つようになります。
そして家族の中でいつも褒め称えられ高い評価を与えられるので、やがてそれを生きがいとし他人からの賞賛を自分の存在価値とみなすようになります。
人から称賛される道を選び、称賛がなくなることを恐れます。
ヒーローにとって称賛と存在価値は一体化しています。
ですから失敗することを極度に恐れるのです。
失敗すれば称賛が得られない、つまり自分の存在価値がなくなると考えるのです。
しかしそうした周りの期待に応えようとする生き方、人からの賞賛を得るために必死に頑張る生き方は当然歪みを生みます。
嗜癖に走ることもありますし、考え方や人との接し方なども影響を受けます。
ヒーローはどんな人と結婚しやすいか?
ヒーローはこれまで自分が家族を支えてきたという自負があります。
それが彼にとって心地よい感覚でした。
ですから、妻として選ぶのはそのような人、自分が支えることのできる人です。
自分と同等、もしくは自分より上と感じる人を選びたくありません。
家族の中でヒーローは自分ひとりで十分だからです。
妻に求めるもの
妻に求めるのは称賛、自分を高く評価してくれることです。
それが彼にとっての存在意義だからです。
もし彼への感謝や称賛が少ないと不機嫌になるでしょう。
仕事人間になるかも
完璧主義者でなおかつ仕事ができる彼は、ともすると仕事一辺倒になる可能性があります。
仕事で失敗することは彼にとって恐怖であり、その不安をなくすために一層仕事に打ち込みます。
ヒーローにとって問題なのは、弱音を吐けないことです。
子ども時代、家族の期待を一身に背負ってきた彼は、弱音を吐く機会がありませんでした。
弱音を吐くことは期待を裏切ることになるからです。
ですから、仕事でストレスを抱えていても弱音を吐かないため、突然燃えつきになったりうつを発症することもあります。
モラハラ夫になるかも
完璧主義が家庭で顔を出すと家族は苦しみます。
自分と同じように家族もきっちりすることを求めます。
もしそれができないと厳しい言葉で責め立てるでしょう。
ヒーローは人間関係において上下の関係がはっきりしているのが好きです。
妻を対等なパートナーと見るより自分の部下と見るほうが彼にはしっくりきます。
ですから、妻が彼と対等の関係を持とうとするのは難しいでしょう。
それは彼が認めたくない関係です。
雰囲気も堅苦しくなる
ヒーローは失敗することを極度に恐れます。
ですから、家庭の中でもスキを見せることはありません。
家族は堅苦しい雰囲気に包まれます。
嗜癖に走ることもある
嗜癖(しへき)とはある特定の行動にハマる、もしくは依存してしまうことです。
周りの期待に応えようとして、また何でも完璧にこなそうとして、心はかなりのストレスで押しつぶされそうになっています。
そうしたプレッシャーからの一時的な解放を得るために嗜癖に走ることもあります。
嗜癖には例えば、ギャンブル嗜癖、性嗜癖、暴力嗜癖、ネット嗜癖、アルコール嗜癖などがあります。
こうした症状が見られる場合、心は既に悲鳴を上げている状態です。
アダルトチルドレン専門のカウンセリングをお受けになることをおすすめします。
ヒーロー役の夫とうまくやっていくには
ヒーローに必要なのは称賛です。賞賛や感謝を与えることを忘れてはいけません。それが彼の存在意義だからです。
妻は、自分がヒーローの支えをいつも必要としている女性であり、ヒーローと離れては生活できない女性である、これを演じる必要があります。それによって彼は家族から必要とされていると実感できます。
対等の立場を決して求めてはいけません。ヒーローは一人だからです。
もし彼が「ヒーロー」という鎧を脱ぎ捨てることを拒むなら、このような生活が予想されます。
できること
ヒーローにとって一番怖いことは、称賛を受けなくなること、人から必要とされなくなること、失敗することです。
それで、妻としてできることは家庭の中では肩肘張らなくてもいいことを夫に悟ってもらうことです。
家でミスや失敗をしても夫への評価は下がらないこと、いつも尊敬していることを伝えてあげてください。
家では弱音を吐いてもいいことを知ってもらいましょう。
支えが必要だということを彼もいつかは認めなければなりませんが、あなたが「支えになりたい」と言っても、支えてもらうことに慣れていないのですぐには受け入れないかもしれません。
それで実際は支えているんだけど、「わたしはあなたを支えている」という感じを初めは出さないようにするほうがうまくいくでしょう。
「ヒーロー」という鎧を着ている彼自身が心の中に大きなストレスを抱えていますが、自分がそんな鎧を着ていることすら理解していないことがほとんどです。
気づかせてあげる必要があります。
その自覚が早ければ早いほど、家族の平穏はそれだけ早く訪れます。
コメント
ヒーローは大変だ。
大昔に別れた恋人がこれでした。
当時は全く気が付かなかった。
というかそんな言葉も概念もなかったから。
すごく腑に落ちました。とても優しくていい彼でしたが
結局は自分が完璧である事のほうがが大事だったのかと・・
喧嘩ができないのは否定されるのが耐えられなかったからなのか
激しく落ち込まれて終わり、で、さようならになりました。